統計データから見る「仏教国」

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ここではこれから、日本仏教のことについて、皆さんと一緒に学び考えていきたいと思っています。

さてまず、日本は「仏教国」なのでしょうか?
答えはyesでありnoでもあると思います。どういうことでしょう?

いま手元に、2020年時点での世界仏教徒人口統計があります(World Population Review調べ)。

それによると、世界232の国と地域に於ける「仏教徒」の数は
1位:中国(244,130,000)
2位:タイ(64,420,000)
3位:日本(45,820,000)
4位:ミャンマー(38,410,000)
5位:スリランカ(14,450,000)
6位:ベトナム(14,380,000)
7位:カンボジア(13,690,000)
8位:韓国(11,050,000)
9位:インド(9,250,000)

と続いていきます。これによれば、日本は仏教徒4千5百82万人を擁する世界第3位の仏教大国です。
しかし、中国が2億人超え(!)というケタ違いの圧倒的1位なのをはじめとして、総人口による部分が多い気がしますね。ではパーセンテージで見ればどうでしょうか?以下のようになります。

1位:カンボジア(96.90%)
2位:タイ(93.20%)
3位:ミャンマー(87.90%)
4位:ブータン(74.70%)
5位:スリランカ(69.30%)
6位:ラオス(66.10%)
7位:モンゴル(55.10%)
8位:日本(36.20%)
9位:シンガポール(33.90%)
人口では一番だった中国は18.20%で13番目です。10位韓国、11位台湾、12位マレーシア。
これですと、普通に考える「仏教国」のイメージに近づいてきました。
もし「チベット」があれば、トップの方に入ってくるはずです。

でも「仏教徒」というのはどういう定義なのでしょうか?どんな調査をしたのか、どのような回答を「仏教徒」とカウントするのか、よくわからない部分もあります。ここで挙げられている「仏教徒」は、本当に「仏教の信奉者」なのでしょうか?

そこで、今度は「行為」に注目して、データを見てみましょう。「世界寄付指数World Giving Index」という、Charities Aid Foundation(CAF)がまとめた統計資料があります。2019年に発表された、126の国と地域に於ける過去10年間のデータによるランキングを見てみます。
これは
1,助けを必要としている見知らぬ人に支援を与えた
2,宗教、慈善団体等に寄付を行った
3,組織的なボランティアに寄与した
の3項目でスコアを出しています。
この「行為」に関しては「仏教徒である」と言うことに直接の関わりは無いかも知れませんが、「宗教や、慈善ということに関する関わり方」という点では見るべきものがあると思います。

まずは3項目の総合ランキング
1位:アメリカ
2位:ミャンマー
3位:ニュージーランド
4位:オーストラリア
5位:アイルランド
6位:カナダ
7位:イギリス
8位:オランダ
9位:スリランカ
以下
21位:タイ
37位:モンゴル
46位:シンガポール
57位:韓国
82位:インド
84位:ベトナム
102位:カンボジア
107位:日本
最下位:中国

ラオスとブータンは統計データがありません。ラオスはタイ・カンボジア・ミャンマーに近い傾向があるだろうと推察されますが、ブータンのデータが無いのはちょっと残念です。チベット仏教圏のデータがモンゴルだけと言うことになります。

次に「人助け」のランキング
1位:リベリア
2位:シェラレオネ
3位:アメリカ
4位:ケニア
5位:ザンビア
6位:ウガンダ
7位:ナイジェリア
8位:イラク
9位:カナダ
以下
29位:スリランカ
49位:ミャンマー
78位:韓国
83位:ベトナム
89位:タイ
90位:モンゴル
96位:シンガポール
113位:インド
119位:中国
124位:カンボジア
最下位:日本
アフリカの国が多いですね。社会がフランクなのでしょうか?
仏教徒パーセンテージが高い国はあまり奮いません。日本はひどい順位です、シャイだからでしょうか?困っている人自体が少ないのでしょうか?
東南アジア勢が低いスコアなのはちょっと意外です。人助けが当たり前すぎて「人助け」とも認識していない可能性があるような気もします。

次に「寄付」
1位:ミャンマー
2位:イギリス
3位:マルタ
4位:タイ
5位:オランダ
6位:インドネシア
7位:アイルランド
8位:オーストラリア
9位:ニュージーランド
以下
19位:スリランカ
21位:シンガポール
28位:カンボジア
29位:モンゴル
38位:韓国
62位:インド
64位:日本
65位:ベトナム
116位:中国
首位のミャンマーを先頭に、東南アジア仏教国は軒並み上位です。東アジアはあまりぱっとしません。中国はこれも最下位グループ。

次は「組織的奉仕」
1位:スリランカ
2位:トルクメニスタン
3位:ミャンマー
4位:リベリア
5位:アメリカ
6位:ニュージーランド
7位:インドネシア
8位:タジキスタン
9位:フィリピン
以下
16位:モンゴル
46位:日本
53位:韓国
59位:シンガポール
63位:インド
79位:タイ
98位:ベトナム
113位:カンボジア
最下位:中国

如何でしょうか。もちろん統計データは、その調査手法や様々な要因で、必ずしも実態を保証するものではありませんが、雰囲気的なことはわかると思います。

世界最大の「仏教徒」の数を誇る中国は、世界で最も「宗教・慈善」に関心が無い国でした。人口で世界第3位、比率でも8位の日本は、126カ国中下から19番目でした。比率では世界№1という仏教大国カンボジアも、この統計では下から24番目。

この総合ランキングと、仏教徒数、仏教徒パーセンテージを使用して「仏教国であって」「宗教・慈善活動が意識・実践されている国」という仮説的順位を出すならば、以下のようになります

1位:ミャンマー
2位:スリランカ
3位:タイ
4位:モンゴル
5位:シンガポール
(5.5位:台湾 人口比21.30%=11位 総合ランク48位)
6位:韓国
7位:インド
8位:ベトナム
9位:カンボジア
10位:日本
11:中国

最後に国力を示すGDPの統計です。1人あたりのデータ(2018年IMF)を出しておきます。
ここでは上の方の「仏教徒総数」「仏教徒パーセンテージ」上位9カ国に関するデータに絞ります。
シンガポール:8位($64,579)
日本:26位($39,304)
韓国:28位($33,320)
中国:72位($9,580)
タイ:84位($7,448)
スリランカ:115位($4,099)
モンゴル:117位($4,017)
ブータン:131位($3,160)
ラオス:138位($2,566)
ベトナム:139位($2,551)
インド:144位($2,038)
カンボジア:155位($1,504)
ミャンマー:162位($1,300)

日本と最下位ミャンマーの間には、ほぼ30倍の違いがあります。

では、仏教を成立させるのに大きな意味を持っている「寄付」に関して細かく見るとどうでしょう?

いろんなデータがあって、難しいところですが、ミャンマー人ひとりの月あたりの寄付額は、平均して30ドル程度(日本円で約3,000円)であると思われます。

これに対して、日本はひと世帯(2人以上)の年間寄付総額平均、なんと3,403円!「年間」ですよ。月間に直すと約280円。(総務省2015年)

GDPは30倍で、寄付額は10分の1。

ミャンマーの寄付額をGDPベースで補正すると、日本人の価値観で毎月9万円の寄付を行っていると言うことになります。さすが、上の統計で世界で最も寄付を行う国民です。

逆に日本人の寄付額を、ミャンマー人の価値観に直すと毎月10円未満。

しかし、たしかに私のまわりで、毎月10円でも「寄付」という行為を行っている人は少ないように思えます。日本には「寄付という文化」は存在しない。とよく言われますが、事実であると言えるでしょう。

此処までのデータを見てきて、どのように感じられましたか?

日本は仏教国でしょうか?

そうであるとも言え、そうではないとも言える。

私はそのように感じます。

この統計にあらわれる「仏教徒」とされる日本人は、何を以て「仏教徒」であると考えているのでしょうか?それはミャンマーやスリランカと同じ基準なのでしょうか?

日本の仏教とは?世界の仏教とは?

この辺りを、考えていきたいと思っています。